後藤さんを悼む

中東での事件が極めて残念な結果となった。志を持ち,人々に奉仕した心優しい方の命が酷く断たれてしまったことを悲しく思う。

宗教の名を借り,道徳の名を借りて他者を傷つけることが人類の歴史には数限りなくある。その反省として平等,平和主義が生み出されてきたが,その歩みはいまだたどたどしい。

今回の事件について,日本人の安全という視点での報道や論評はおおかったが,なぜ報道関係者がその地に赴いたか,力を力で押さえ込む現場でこれまで何が起こっていたかは見聞きすることは少なかった。昨今は困難な現場での取材や奉仕まで非難される。いまだ国際社会の名誉ある地位をしめようとしないのは残念なことだ。

決めつけや表層的な理解は根本的な解決にはつながらない。歴史の事実を都合よく捻じ曲げるのは為政者や権力を持つものにありがちであり,その暴走を抑制するために自由な報道,自由な表現がある。

他者を尊重しよう。他者を理解しよう。そうした歩みこそが本当の力であり,勇気である。