アメリカでの食品の機能性・効能表示規制制度と一般食品での実態に関して

先日,とある診断士の研究会で,アメリカでの食品の効能表示の実態はどうなっていますかという質問があった。簡単に調べてみたので,自分のための覚書としてここに掲載しておく。ただし,この記事は,なんら助言をするものではなく,内容の妥当性,最新性も保証しない。

機能性表示の全体像

基本的に,アメリカでの食品の効能表示については,健康食品でしかできない。事業者の自己責任という考えで制度ができているようだ。

米国等における食品の機能性表示制度 2014/12/20 消費者庁

消費者の安心・安全確保に向けた海外主要国の食品に関する制度に係る総合的調査 アメリカ編 2009/07 消費者庁
食品行政制度の概要比較表…2009/07 消費者庁

健康食品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出 2014/01 JETRO

以下,上記JETROの資料からの引用

5. ヘルスクレーム(健康強調表示)
A. ヘルスクレームは、疾病リスクを減らすことに限定され、病気からの回復や治療効果は表示できません。ヘルスクレームを行うには、公表データによって科学的に立証され、専門家の支持が必要です。それらをもとにFDAに申請して許可を得なければなりません。

B. 留意点
最近の事例では、FDAは「最近の当社の研究によれば、冠状動脈の罹患リスクをもっている人に対し、緑茶あるいは緑茶のフラボノイドがコレステロールを著しく引き下げる効果があった」という内容のヘルスクレームを表示した米国企業に対し、医薬品に該当するものであるという理由で、表示を中止するよう勧告しました。
米国ではヘルスクレームに対して、FDAから中止勧告を受けて商品の自主回収を余儀なくされるケースや、消費者団体や弁護士事務所が科学的根拠に乏しいヘルスクレームを行って消費者に誤解を与えたとしてメーカーを提訴するケースがあります。こうしたケースでは、回収費用が発生する、あるいは莫大な損害賠償金の支払いを余儀なくされたケースもあります。ヘルスクレームは慎重に行ってください。
FDAが認めているヘルスクレームの一例を以下に示します。
「Three grams of soluble fiber from oatmeal daily in a diet low in saturated fat and cholesterol may reduce the risk of heart disease. This cereal has 2 grams per serving.」

一般食品での実態と考察

先日米国現地で買い求めたT社の緑茶ティーバッグ商品には,Naturally Decaffeinated, Natural Source of Antioxidants, GREENS: naturally refreshing teas with smooth taste という表示がある。

これについては以下の疑問が浮かぶ。

  1. 緑茶ティーバッグが制度上の健康食品にあたるのか
  2. Natural Source of Antioxidants という表現は天然由来の抗酸化物質という意味かと思うが,抗酸化という表現が含まれている。機能性表示にあたるのか
  3. naturally refreshing teas という表現はリフレッシュできるという意味かと思うが,これはさすがに機能性表示にあたらないと判断されるのか

元品質管理担当者としてはおっかけてみたいが,今日のところはこのへんで。

初めての海外展示会参加で成果を上げるために

海外販路開拓の手法の一つとして,展示会や市場視察は重要な手法の一つだ。ところが,準備不足で思ったような成果があがらなかったということが多い。成果をあげるための心得をいくつか紹介しよう。

そもそも輸出・展開できるのか

前提としては,そもそも出品したい商品・サービスが相手国・地域に輸出できるのか,展開できるのかだ。ここをクリアしていないと,どんなに魅力的な商品・サービスでも,第一歩が踏み出せない。食品・農産物なら検疫制度や関税制度で制限のある場合があろうし,サービスだと,例えば中小企業診断士が外国を訪問して現地で企業診断・支援をして現地で対価を得ると,違法となる場合もある。まずは,JETROでそのあたりを調査する必要がある。

自社の戦略に合う展示会を選ぼう

海外展示会への出展は費用がかかる。輸出関連は補助金やら支援策やらが多くなっているが,それでも時間というコストは避けられない。出展/視察する展示会は慎重に選びたい。探すには,JETRO(日本貿易振興機構)のデータベースがまず参考になる。

ただし,このデータベースにすべての展示会・商談会が登録されているわけではないので,検索サイトで”開催国・地域名 exhibition”などと検索してみることをお忘れなく。

また,ターゲットとして狙う層が来てくれる展示会か否かは,その展示会の公式サイトをチェックして確認しておこう。いずれの公式サイトも,過去の開催実績を掲載している。前年・前回の出展者数,来場者人数,展示会の主な参加者プロフィール,写真付きレポートなどは,参加展示会を見極める上で大いに参考になるはずだ。

商品・サービスのコンセプトと価格,送付方法をはっきりさせておこう

英語や現地の言葉に訳したパンフレットを準備する際,商品・サービスのコンセプト(ターゲット,対応ニーズ・想定使用シーン,特徴・独自性)を文章にしておくと良い。あえて外国語に訳してみることで,足りない部分や論理的に表現できていなかった部分が見えてくる。

また,現地で購入できる価格の提示は必須。そのためには,あらかじめ送料や関税の料率なども調べておく必要がある。

協力者とのコミュニケーション

現地で通訳や,アシスタントがつくことがある。こうした人達には,自社の商品・サービスの特徴を事前によく理解してもらおう。また,ブース来場者との話をまとめた商談記録を,後日まとめてわたされるなどというシステムがとられることがあるが,ぜひ,当日,コピーをとり,アシスタントなどとその記録について,簡単な振り返りをおこなおうべきだ。記録にはちょこちょこ間違った情報が記載されてしまうことがある。展示会場は忙しいのでミス自体は起こりうることと心得,それを早めに発見することが大切だ。帰国してからではわからなくなってしまう。

現地の生活に触れよう

食品関係の出展者でも,現地にいくと日本人同士で日本食ばかり食べていたり,タクシーばかり利用している事業者さんが多い。もったいない話だ。現地の食,現地の生活を体験しよう。安全に配慮する必要はあるが。

現地滞在中にフォローや情報収集をしよう

商談記録や実際に会った際の印象などをもとに,先方事業者がどれくらいビジネスに結びつきそうかの度合いをランク付けし,できればお礼状を現地でだそう。また,展示会終了後,先方の事務所や店舗・倉庫を見に行こう。

参考資料

JETROは,「初めての海外見本市のために‐出展のポイント」という書類を発行している(同機構のサイトからダウンロード可能)

チェックリスト

  • そもそもその商品・サービスは相手国・地域で展開できるか
  • 開拓先の都市・地区が定まっているか
  • 現地で入手できる価格ははっきりしているか
  • 商談シート記録は当日まとめられたか,ふりかえりができたか

ニューヨーク出展を支援してきました

創業190年の老舗茶問屋さんのニューヨークでの展示会出展を支援してきました。こちらは事業者さんの報告。

展示会も無事終了。レストランオーナーやホテルの料理長、スーパーマーケットや百貨店のバイヤーさん、多くの来場者が宮ザキ園ブースにお越し下さいました。アンケートや市場調査では高評価をいただき、海外マーケットの可能性を感じる展示会でした。

Posted by 宮ザキ園 ( 日本茶と「わ紅茶」のある暮らし) on 2015年3月14日

創業190年の茶園「宮ザキ園」が米国市場に挑戦!

東海地域農林漁業成長産業化推進協議会さんに支援事業者さんが紹介されました。

【認定事業者の挑戦①】創業190年の茶園「宮ザキ園」が米国市場に挑戦!宮ザキ園 梅村篤志さん愛知県岡崎市の茶園「宮ザキ園」が、3月7日から10日、ニューヨークで開かれた食品展示会に出展し、ほうじ茶、わ紅茶、緑茶の3種類を実際に試飲し…

Posted by 東海地域農林漁業成長産業化推進協議会 on 2015年3月30日

香港の商標登録制度情報

ーとある事業者さんに提供した情報を記録として掲載しておく。

⚫︎⚫︎農園様

お世話になります、魚野です。表題の件、以下お知らせいたします。ちなみに愛知県の支援策は締め切りが6月末と差し迫っておりますが、あいにく魚野は水曜日から台湾出張のため、仮に申請されるとすると
一部のみのお手伝いになってしまいます。ご了承ください。

◼︎香港の商標登録制度概要
一般社団法人発明推進協会 APIC外国相談室が、特許庁からの委託を受けて調査した資料が掲載されている。
http://iprsupport-jpo.go.jp/
http://iprsupport-jpo.go.jp/miniguide/pdf2/HongKong.pdf

JETROサイト内にある、香港の知的財産制度を解説するページに掲載されている模倣対策マニュアル2014参照
http://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/ip/
http://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/ip/pdf/2004_hk.pdf
概ねイギリスの制度に則っている。また、日本語の文字を登録することもできる。

◼︎実際に登録されている商標の検索方法
香港政府の知的産権署のサイト内に、英文または中国語での検索サイトがある。
http://www.ipd.gov.hk/sc/electronic_services.htm

◼︎商標登録に必要な費用
上記の概要ファイル内に、費用一覧が掲載されている(ただし、非居住者の出願には弁護士など代理人をたて、手続きを行うが、その費用相場については例えば以下のような事業者が掲載していた(単に検索して見つけたのみであり、推奨しているわけではない。JETROや後述のあいち機構の担当者に相談した方がよい)
http://www.by-cpa.com/jp/html/news/200811/73.html

◼︎愛知県の支援策
愛知県が中小企業を対象に、外国への知財出願支援を行っている。
http://www.aibsc.jp/tabid/314/Default.aspx
また、ウィンクあいちに入居するJETROに、農産物輸出相談窓口あり。
http://www.aibsc.jp/tabid/314/Default.aspx

以上

中国で農業投資を行おうとする場合の参考情報

自分のためのまとめ。20121003調査
 
■基本情報…農産物の生産法人の設立:中国(JETRO)
 http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/qa/03/04A-111102
 基本的なことはここに全て書いてあります。

■商工中金の海外展開支援(オーバーシーズ21)
 http://www.shokochukin.co.jp/finance/case/overseas.html
 http://www.shokochukin.co.jp/corporation/raise/kind/original/
 資金調達で現地金融機関と提携など

■OVTA関係
 http://www.ovta.or.jp/info/investigation/chn_casebook/index.html
 農業にかぎらず,現地で日系企業が直面する課題に関する資料です。

■中国の土地制度及びトラブル事例
 http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/reports/05001524

■中国農業土地問題研究会
 http://iccs.aichi-u.ac.jp/activity/china_agri.html

■農業進出に関する現地での受け止められ方
http://su-mi.iza.ne.jp/blog/entry/2297871/
 http://j.people.com.cn/94476/7388677.html
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0525&f=business_0525_068.shtml

■日本政策金融公庫関係
・農林漁業者の海外展開に関する資金制度
 http://agri-biz.jp/item/detail/6524?page=2
 海外での販売や,海外での加工施設取得に対する資金融資

■JETRO関係
・国・地域別情報 – 中国
 http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/
 投資制度に関する網羅的情報。
・中国-食品・農林水産物
 http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/foods/
 輸出向けの情報だが,網羅的。
・農林水産物・食品輸出促進本部
 http://www.jetro.go.jp/news/announcement/20120201622-news
 2012/1/20 設置完了。

■農林水産省関係
・海外農業投資に関する情報…
  http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokkyo/toushi/index.html
  一般情報の提供であり,実際の進出にあたっては参考程度。
  ただし,「海外農業投資をめぐる事情」最新版には,日本からの
  海外民間農業投資の最近状況が,資料に紹介されている。

・東アジア食品産業海外展開支援事業…
  http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/food_tech/f_jigyou/e_asia.html
  機能性食品などを海外展開するための補助事業。

■事例
・山東省に進出したアサヒグループ「朝日緑源」
 http://www.asahigreensource.com/japan/

どんな事業者が海外ビジネスを考えるべきか(1)〜既存事業で利益は出ていますか〜

前回の投稿からずいぶん日が経ってしまったが,海外ビジネスを考えはじめたときに考えるべき最初のテーマとして,どんな条件を備えた事業者が海外ビジネスを考えるべきかを考えてみよう。

■事業の状況…海外と国内,どちらをねらう?

海外ビジネスを考えるべきかどうかを考える前に,まず国内ビジネス,あるいは既存の事業で,ある程度の利益を確保できているかを検討してみるべきだ。海外に出張したり,商談したりするだけでも費用は国内の何倍もかかる覚悟が必要である。また,そもそも既存の事業がうまくいかない,つまり経営のノウハウが確立できていないのに,よりリスクの高い海外に出ていったとしても,成功する確率が低いのは言うまでもない。

確かに,製造業をはじめとする多くの事業者が,海外展開を試み始めている。理由ははっきりしていて,親会社の要請に従ったか,円高や人口減少という日本国内でのビジネスの 難しさを危機ととらえて自主的に行動したかのいずれか,あるいはその両方だ。経済成長が続く市場での経営のほうが,成長が容易になるし,縮小する市場での競争は,熾烈になる。例えば,食品は,食べる人が少なくなれば,売 れる量も少なくなるので,国内だけに展開する食品関連メーカーは,イス取りゲームを続けているような心持ちだろう。

こうした中,企業の勝ち残り策を非常に単純化すると,海外を市場として活用するか,国内で何らかの形でナンバーワンの地位を獲得することのいずれかになる。実際,大手食品 メーカーは海外の食品関連企業を買収したりして,海外を販売市場として活用しようとしているし,先進的な中小食品関連企業は,新しいカテゴリーの食品を開 発したり,限定した地域で独自の地位を確立したりといった戦略をとっている。日々の操業や資金繰りに追われ,そうした戦略をとれない企業・事業者は,どん どん経営の選択肢が狭まっていることを実感しているはずだ。

海外ビジネスを考えるべきかどうかを考える前に,まず国内ビジネス,あるいは既存の事業で,何らかの形でナンバーワンになれないかを検討してみるべきだ。国内のビジネスでは立ちゆかないとあせって海外ビジネスに突入することは危険である。航空機のパイロットは,選択肢を狭めない決断をすることを基本としている。企業経営の場合,まずは既存事業で一定の利益確保ができていることが,選択肢を持つ,あるいは増やすということにつながる。

次回は,異文化に対する態度について考えてみよう。

輸出を考える小規模事業者に確認したい3つのこと

今,小規模事業者の間でも,日本市場の将来を悲観して,海外市場を開拓しようという動きが広がっている。こうした動きは基本的に賛成だが,海外には多くのリスクがある。それゆえにそうした取組を始めたいという事業者に,3つの点について確認したいのだ。それは,その事業者にとって本当に海外活用が最適なのか,きちんと海外市場や海外取引について学んでいるか,そして,日本の小規模事業者なりの勝負の仕方をしようとしているか,の3点である。まず,今日は本当に日本社会は悲観的な将来しかないかという点について考えてみよう。

今,日本経済の将来に対して悲観的な見通しが広がっている。短期的には,復興需要やもともとの経済力によって幾分景気はよくなるだろうが,人口も減り,新興国に追いぬかれ,日本は衰退するという。魚野は基本的にこうした考えとは違った将来を描くべきだと思っている。隣国に豊かな国・地域が出現するのなら,それはこの国にとって大きなチャンスになる可能性がある。

まず日本には,こだわりを尊重し,それを産業化できる伝統がある。江戸時代より,日本の工芸品・芸術作品は全世界で注目を集めていた。高度成長期,広義の品質(Q:機能・性能・デザインといった狭義の品質,C:価格(とそれを実現するコスト低減),D:納期(必要なときに必要な数量を提供するという意味を含む)の3つからなる)を極めた工業製品が世界を席巻した。たしかにMade in Japanの工業製品というのは,人件費が世界一となってしまった現在,競争力に乏しい場合も多いかもしれない(もっとも,農産品を中心に,十分競争力を持つ場合も多いが)。しかし,Made by Japan, Designed in Japan, Produced by Japaneseといった,日本文化の特性を生かした商品・サービスの供給には,可能性が詰まっている。世界から見た日本という存在は,昔も今も,かなり大きいのだ。

また,日本には,豊かな資源がある。海に眠る天然エネルギー資源しかり,農山漁村にある豊かな文化,美しい風景,ものづくりの世界にある改善という知恵と,それを実現する人を育てるノウハウ(もっとも,これは多様化する価値観に合わせてやり方の修正という工夫は必要だが)しかり,街のストーリーしかり,自然災害に対峙する工夫しかり,…。不足しているのは資源ではなく,その資源を活かせるのではないかと気づき,工夫を重ねる人と,取りくむための冒険心つまり,「創造的な人」なのだ。

生産年齢人口が減るから経済が衰退するという議論がある。新しい,高齢者市場,退職者市場の出現に目を向けたらどうだろうか。ITや運送技術の発展を生かし,豊かになった近隣諸国をはじめとする諸外国を市場としてみてはどうだろうか。単一価値観を尊ぶ社会を転換し,多様化から創造性を引き出す社会への転換に成功すれば,いっそうの可能性が広がる。偏狭で感情的な排外主義や卑屈な感情の裏返しである差別意識を克服し,海外社会出身の流動民を受け入れるようになれば,こうした動きに拍車をかけることも可能だろう。

高齢社会への対応の遅れから,税収が減り,政府財政が破綻する,ひいては日本が破綻するという議論がある。たしかに日本政府に対する海外からの懸念は一定程度あり,信頼が失われる事態に至れば,経済の混乱は必至だ。だからこそ,政治に一方的に期待し,短期的に成果が出ないと次々と指導者を取り替えるといった投げやりな態度ではなく,一旦選んだら一定程度の期間はまかせる,税負担を口にしただけで感情的な拒否反応をすることをやめるといった,成熟は必要だろう。だが,この国の国民は,それくらいの成熟度には達することができる。たとえその糸口が,不幸にも大きな災害であったとしても。

東京が豊かに繁栄して,名古屋が没落しただろうか。近隣地域の勃興が,日本の零落に即決するだろうか。知恵と勇気で工夫を重ねていけば,つかみとれる可能性のある機会と強みは十分にあるのだ。

明日は,どんな事業者なら海外活用を考えるべきかという点を検討したい。