dropboxでOSXのアドレスブックのデータを同期させる

2011年6月24日追記

残念ながら,下記の方法を行っても,同期が思ったようにはされなかった。素直に,iCloud の開始を待ったほうが良さそうだ。

追記終わり

まもなくiCloudが始まるので意味がなくなるが,一応自分のための覚書。

  1. 同期させたいパソコンのアドレスブック.app を終了
  2. 元データの移動…/Users/(* ユーザー名 *)/Library/Application\ Support/AddressBook にあるデータをdropboxで同期しているフォルダのどこかに移動
  3. シンボリックリンクをはる…sudo ln -s (* dropbox フォルダでアドレスブックデータをおいておくところ *)   /Users/(* ユーザー名 *)/Library/Application\ Support/AddressBook
  4. キャッシュの消去…/Users/(* ユーザー名 *)/Library/Cache/com.apple.AddressBook
  5. 適宜,各フォルダのアクセス権を変更

注意

  • 何をやっているか理解出来ない方は,真似しないでください。
  • クラウドに個人情報をおいておくことに不安を感じる方にもお勧めできません。
  • アドレスデータをいじった直後に同期をおこなっても,うまく同期が取れないようです。キャッシュの関係?

背景

常用しているMacBook Airは,ディスク容量の制限の関係でiPhoneやiPadと同期させず,宅内作業機として使っているMacBookが音楽や写真,アドレスブックデータの管理場所となっていた。しかし,外出先でアドレスブックデータをいじりたい場面が多々出てきた。

そこで,MBAとiOSデバイスを直接同期させはしないものの,MBAのアドレスデータが自動でMBのほうに反映されるようにすることで,MBAとiOSデバイスのアドレスデータを共通化させることにした。

参考ページ:

http://tipsfor.us/2008/11/24/keep-your-address-book-in-sync-with-dropbox-mac-os-x/

OSXの目指すその先

昨晩,アメリカでアップル社の発表会が行われ,新OS,新サービスの概要が発表された。iPhoneやiPadなど情報端末向けiOSの進化,クラウドを基盤としたサービスの集合体iCloudの発表と,アップルの製品・サービスは順当に進化しているように見える。しかし,いささか手詰まり感があるのがOS Xだ。

iPhoneやiPadは,ついにパソコンの呪縛から離れ,クラウドサービスとつながることで独立した端末として機能し始める。後発のAndroidにあってiOSになかった仕様であり,実装の要望も多かったことだろう。iPhoneやiPod, iPadの使い勝手に感動してWindowsからMacに乗り換える(ハロー効果と呼ばれている)ユーザーも多いだけに,パソコンとの接続を前提としたiOS端末を単独で使えるようにすることは,正負両面の影響があった。だが,ネット接続にパソコンを使う人よりもはるかに多くの人が,携帯端末を使う。そんな変化が進んでいる現在,パソコンに紐付けておくことは足かせとなると判断したのだろう。

iCloudは,アップル社が従来持っていたクラウドサービスを更に進化させたものだ。クラウドサービスには高速ネット接続環境が不可欠だが,移動中も含め,少なくとも日本や韓国,アメリカの都市部やその近郊では,ネット越しのサービス利用に必要なだけの接続環境が整ってきている。パソコンにすべて貯めこむ時代から,様々な端末でネット越しにデータやサービスを利用する時代に突入する,よいタイミングをとらえている。

今回の発表でいささか拍子抜けしたのが新しいMac用のOS, OS X Lionの中身だ。価格や配布方法,一人の人にライセンスするという方式(1回買えば,個人のどのMacにも使える),バックアップの自動化など,リーダー企業ならではの方策には感心するが,クラウド化したその先,パソコン,特にファイルの活用がどうなるのか,方向性を見いだせていないように感じる。

個人や企業が活用するデータやそれを格納するファイルの量は爆発的に増えている。膨大な量のデータやファイルを扱うには,従来の階層フォルダ(Windowsの世界ではディレクトリ)による論理的な整理では対応しきれない。それは,デスクトップにファイルがちらかっている多くのユーザーの姿を見れば一目瞭然である。

個人的なアイディアとしては,Spotlightのような素早い検索がOS Xの優れた解の一つだと思う一方で,Evernoteのように,保存した画像から自動的に文字認識するような,検索のしやすさを支える機能が,OS Xには足りない。画像のみならず,動画,音声ファイルなども自動的に索引付け,タグ付けする機能が必要だと思う。

また,ファイル保存場所をクラウドにすることでどの端末,パソコンでも同じデータが使えるという利便性が向かうべき方向だと思うが,この点,今回の発表ではいまだ中途半端のように思う。iCloudやサーバー機能の低価格化(Lion Serverは,OS Xの追加機能として5,000円程度で追加できる。従来価格の1/10だ!)で一定の解が出されているとはいえ,自宅に24時間サーバーに電源を通じておく場合のリスク(出火や不正アクセス,盗難)を考えると,今回の発表概要からまだ一歩,進歩の余地があるように思う。

海外出張にアップル製品は必須

先日の米国出張でアップルの機器が大活躍した。持参したiPhone 3GS, iPad, MacBook Airのアップルトリオは電話だけでなく,街を歩いていてや展示会出展中の調べもの,FacebookやtwitterなどSNSとの接続,ナビゲーションなどに使っていた。ただ単に便利だっただけでなく,海外出張にありがちな危機を何度も回避したり,リカバリーができたりした。何があり,どうしたか,アップルの機器がどう役立ったかをお伝えしたい。

昨年2010年からSoftbankは海外データ通信ローミングサービスを始めている。一日あたり1,400円程度と短期滞在向けであり,価格水準も妥当なものだ。ただ,Softbankと契約したiPhoneは海外に出てもテザリング出来ず,一方でビジネスで出張している者としてはMacBook AirやiPadでも費用の心配なく,納得のいく費用の範囲内でデータ通信がしたい。そこで今回は,データ通信は別事業者のWiFiルータサービスを利用した。これも1日あたり1,000円程度の金額で定額通信ができる。3G回線を利用しているので若干まどろこしい速度であり,通信時間も今回利用したものは4時間程度しかもたないものだったが,現時点では許容範囲だ。

現地でもっとも活躍したのはiPhoneだ。電話は当然のこと,Twitter, Facebook などSNSのサービスを利用して海外でも気軽にリアルタイムの情報発信ができる。空港や展示会場でのFacebookでのチェックインは,臨場感をもって受け止められたと思う。自分のような個人事業者にとって,どこで何をしているかをこまめに発信することは,ブランディングにおいても重要なのだ。
また,街に出て,あるいは出展期間中にちょっとした調べものをしたい時,やはりスマートフォンは欠かせない。好奇心旺盛な者として,おそらく10分に1回程度は使っていたように思う。さすがに2年間使っていたiPhone3GSのバッテリーはヘタリ気味で,一日に1回から2回,追加充電が必要だった。追加充電にはサンヨーのモバイルブースターを利用した。
もう一つ便利だったiPhoneの機能がカメラ機能だ。iPhoneでとった写真は,一般的な他の携帯電話と違い,色調が普通のカメラで撮ったように自然だ。また,カメラと電話とを別々に持ち歩くことは,ことに身軽に動きたい海外では避けたいことの一つだ。iPhoneひとつにしておけば,盗難や紛失のリスクが減るだけでなく,作業の準備や片づけに時間がかからない。実は同行者がカメラを紛失したのだが,携帯とカメラ,財布と,一度にいくつものアイテムに注意をはらうことは,特に疲れが貯まりやすい海外では容易ではない。持ち歩くものを減らすことは,大きな意味がある。

そして次に活躍したのがiPadだ。これは,展示会場で来場者からいただいた情報をもとにその場で検索したり,現地で利用するレストランの検索に役立った。ちなみに,ガイドブックのiPad版を見つけたのであらかじめ購入し,インストールしておいたが,情報量が貧弱で,ほとんど役立たなかった。おそらく次回はよほどのことが無い限り,紙の本をスキャンして取り込んでおく方を選ぶ。
実は今回の旅程中,iPhoneを失った。どうもタクシーで落としたらしく,一時は拾ってくれたらしい方との連絡がついたのだが,結局,受け渡しに指定された場所を見つけることが出来ず,日程の後半はiPhoneなしで過ごした。この時活躍したのがやはりiPadだ。さすがに街中や展示会場で立ちながらノートパソコンを広げたり作業したりするには無理があるが,iPadならなんとかなる。電話についても,skypeとイヤホンマイクを利用することで,最低限のことはできた。ただし,通常の電話にかけるため,急遽,クレジットカードを利用してskypeクレジットをオンラインで購入している。

また,MacBook Airも大活躍だった。今回はポータブルドキュメントスキャナを持参し,現地で集めた情報や名刺などは即座にデータ化するようにした。こうした情報処理にはパソコンは必須だ。iPadではこうはいかない。
加えて,MacBookAirの電池のもちの良さ,軽さも魅力だ。この文章は帰路の飛行機期中で打っているが,バッテリの残量はまだ3時間以上を示している。起きている間使い続けても,無くなることはないだろう(隣席の人たちに迷惑にならないためにも,プライバシーフィルターを利用して最低限の輝度設定からさらに光量を落としている)。今回は会場や街に出かける際,必ず鞄にiPadとMBAを放り込んだ。ホテルでの盗難を心配しなくていいし,この薄さと軽さなら,持ち歩いても苦にならないからだ。ただし,鞄にスタイリッシュな革製のリュックサックタイプを使ったことだけは書き留めておく。ショルダーや持ち歩きタイプだと,疲れたときに重く感じただろう。少し厚めの革なので,背負っていてもカッターで切られて中身を取られるという心配をしなくてもいい。

今後,こうなるといいなと思うのは,iPhoneの海外でのテザリング機能,MacBookAirのストレージ容量の拡大,3機器のバッテリの持ち時間の更なる増大だ。おそらくは,数年のうちにそうした希望はかなえられるだろう。そしてそのときは,iPadはMacBook Airと統合され,財布は国際電子マネーあるいはクレジットカード機能がiPhoneに統合されていることだろう。惜しむらくは,日本企業からこうしたバランスがとれた製品・サービスが登場する気配がないということだ。

2011年5月20日 07:35 全日空009便機内にて

電子書籍リーダーあれこれ

先日,先輩診断士にソニーの電子書籍リーダー,どう?と聞かれ,自分なりに考えてみました。結論から言えば,文庫や新書などの本を読みたいなら,Sony Reader買ってもよさそう。単行本サイズやビジネス書類をpdf化して読みたいなら,いま持っているiPadで我慢して,Kindle DXが日本語対応して1万円台くらいにまで価格が下がるまで,待ち。

私より早くiPhoneを購入されたり,Panasonic Let’s Noteをこよなく愛する新しもの好きのかの先輩診断士先生に,先日研究会でお会いしたときに電子書籍リーダー,どう?と聞かれました。魚野の電子書籍体験は,基本的にiPadやクラウドサービスのdropboxにpdf化した自炊本や書類を放りこんでおいて,iPadやMacBookAirで随時見るという形式でやっています。他のデバイスは,iPadの発売時期やiPad用に自炊用具を揃えたときにいろいろと各種調べましたが,iPadの価格と機能,電池の持ちのバランスにまさると思えるようなもの,クラウドサービスの自由度を超えるものがなく,現在に至っています。

そういうわけで,まだアーリーアダプターのための商品ですよね〜と気軽に答えたのですが,最近震災時に結構Kindleが役立ったという情報をちらほら見かけ,e-inkで300gくらい,価格が1万円台なら買って持ち歩いてもいいかなぁと思ったのですが…。そういう条件をみたすものは文庫や新書サイズ程度の小型のもの (Kindle3やSony Reader)しかない。しかも操作性がiPadに比べてめちゃくちゃに野暮ったく,書籍データの使い回し・取り回しも大きく制限されています。

操作性もデータの取り回しも黎明期だからと目をつぶっても良いのですが,私の場合,やはり外出先で,固めでページあたりの文字数が多い単行本や技術書,論文(法律関係とか,材料工学とか,あちこちの会でもらうA4サイズを基本とした資料とか)を読むことが多いので,画面サイズが8〜9インチくらいないと困ります。この時点でSony Reader,Kindle 3は候補から外れました。

残るはKindle DX。まず値段が3万円以上するということが気になります。電子デバイスは新型がひょこひょこ出ますし,出ると買い換えたくなるでしょうから,消耗品に近い感覚でとらえています。だとすれば,せめて2万円台になってほしい。価格の高さは量産効果やムーアの法則の活用でいずれ解決されるとしても,現時点ではKindle DXは日本語対応が不十分で,表示や取り回しは,いろいろと気を使わなければいけなさそう。Kindle 3では日本語フォントなども備えているので随分扱いが楽になったようですが,DXでは対応していない…。というわけで現時点ではこれも見送りです。

iPadと比べ,日本で正式取り扱いのある商品(携帯電話サービス各社やAndroid採用のもの)がだめだなぁと思うのは,多言語対応です。日本語だけでなく,中国語や英語の本や書類も読む自分としては,表示で二言語のみなんて使いにくいデバイスは買う気になれません。逆にいうと,目によいe-inkのデバイス,多言語対応+9インチくらいの大きさ,自作pdfファイルが読めるなら,多少高くても買ってしまいそうです。

付記

最近仕事での外出にはMacBookAir 11′, iPad, WiMAXアダプタ, iPhone, 時にはこれに加えてプロジェクタのEB-1775wを持ち歩くようになっています。書類を全部電子化しておけば,これだけ持ち歩くだけで,かなり地方のほうの外出先でもほぼ名古屋のオフィスにいるのと同じようなことができるだけでなく,プロジェクタを持っていれば数人の打ち合わせもとてもスムーズ。通信費がもう一段安くなるといいんですがね。

覚書:日経新聞電子版とEvernote

日経新聞電子版とEvernoteに関する覚書。

  1. ログイン・必要な記事を開く
  2. 印刷リンクを開き,テキストをコピー,ページを閉じる
  3. 記事ページの本文テキストの一部(段落初めの空白)を選択状態にして,ブラウザのEvernoteボタンをクリック
  4. Evernoteで該当記事のノートが開く。本文は選択した一部のテキストのみ
  5. 本文を選択し,ペースト。さきほど印刷リンクでコピーした内容が貼付けされる。
  6. 必要におうじ,ブラウザの記事ページに戻り,図表をコピー。図表は原則として拡大ボタンがついているので,これをクリックし,拡大した図表をEvernoteのノートに追加貼りつけ。
  • 必要なもの…タブブラウザが便利。Safariとか,Firefoxとか。ブラウザの拡張機能としてEvernoteのボタンを設定しておくと便利。
  • こうする理由…単に記事ページそのものをクリップすると,広告などの余計な情報が貼りこまれたり,書式の崩れにより記事が読みにくくなってしまう可能性があるため。

李忠成選手の平衡感覚

昨晩のサッカーアジア大会で日本は優勝を勝ち取った。決め手は,日本社会に育った在日コリアン4世の日本人選手,李忠成選手のゴールだった。

印象に残ったのは,李忠成選手のことばだ。インタビュー記事でまず入ってきたのは,『俺がヒーローになるんだ!』と自分に言い聞かせながら常に自分を信じ続けピッチに入ったという言葉だった。サッカーに限らず,自分自身を語る選手が日本社会のスポーツ界でだんだん増えてきているが,成果をあげたヒーロー,ヒロインが語る時,自分の力を信じ,集中したという表現は,まだまだ日本社会では珍しいことと思う。

こうした表現は,個人主義の色合いが濃い,アメリカや西ヨーロッパの社会ではよく聞く言葉で,日本人選手であっても,そうした世界で活躍する選手の台詞としてはよく聞く。一方,集団主義の風潮が色濃く残る日本社会では,まわりのおかげ,支えてくださった人たちに感謝という言葉がまず口をついて出てくることが多い。こうした,個人主義社会と集団主義社会の違いの研究成果を紹介した「選択の科学」(フィナンシャル・タイムズ紙が選んだ2010年のビジネス書ベスト6)においても,まさにこうした違いが紹介されている。

李忠成選手の公式ブログでは,報道された,自分の努力を表す表現と共に,まわりのおかげと感謝する言葉も並べられている。国籍を日本に移しながらも,おそらくは多くの苦労を味わった選手だからことできる配慮だろう。

国内市場が縮小する中,日本企業は海外という資源を活用せざるを得ない。その場合,かの地の文化を理解し,尊敬した上で,日本社会の特徴をも持つという平衡感覚が求められる。李忠成選手のような,国際感覚を持つならば,そうした荒波にも立ち向かっていける。

【参考】2011/3/9グローバル人財シンポジウム開催(留学生支援・活用の参考情報)

留学生支援・活用の参考情報です。

<情報源>

http://www.ajinzai-chubu.jp/info/show.php?id=47

■グローバル人財シンポジウム
経済産業省委託事業 アジア人財資金構想高度実践留学生育成事業
グローバル人財シンポジウム「グローバル時代の人材戦略を考える」

日  時: 平成23年3月9日(水)13:30~16:30(開場13:00)
会  場: ヒルトン名古屋  28階 One O Five
定  員: 120名(先着順・参加費無料)
主  催: 経済産業省中部経済産業局
企画・運営: 社団法人中部産業連盟
【開催概要】
13:30 開催挨拶  経済産業省中部経済産業局
13:35 留学生支援の狙い  社団法人中部産業連盟
13:50 基調講演 立命館APU国際経営学学部長 横山研治氏
14:50 休憩
14:55 企業事例発表 (株)ダイセキ環境ソリューション
15:25 企業事例発表 アサヒビール(株)
16:25 閉会挨拶

「読書メモ」安心社会から信頼社会へ

今回とりあげるのは,安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)。2010年12月の課題本としてアウトプット勉強会(読書会)で取り上げられ,魚野はファシリテーターをつとめてきました。

会では,個人で仕事をしている場合と,チームで仕事をしている場合とで,信頼社会へのシフトの受け止め方が違っていたのが印象的でした。また,ヘッドライト型,地図型,いずれの知性も必要なのではという意見,安心社会が本当にくずれるのか,この点,課題本の論旨には説得力に欠けるのではといった意見,同じ著者の近著まで読んで検討したという報告,信頼社会に動かす誘因はなんだろうという疑問,日本社会を論じたものか,日本人論だったのかという疑問,来る社会に備えてスキルを磨きたい,あるいは自分のできることをしたいという決意表明など,いろいろと話が出てきました。

以下,うおの個人の読書感想文です。

信頼社会にシフトしていくだろうという論旨には共感。ただし,論拠に説得力あることをもっと書き込むべきだったと思う。論旨展開に対する違和感は,研究費取り扱いの非効率(p.5)に対する説明ですでに感じた。真因は間違いを許さない行政の不必要なまでの緻密さ要求(不寛容)であって,不信ではないのでは(不信が真因なら,とるべき対策は厳格な検査)。ところどころ出てくる実験結果の考察も,相関関係と因果関係を混同しているとまではいわないが,逆と対偶の問題があるのではと思う(具体的な懸念箇所は失念しました)。

信頼社会にシフトしていく動因を書き込むべきだったと思う。うおのが考える要因は,国際化,IT化,少子高齢化,新興国(特に中国)の勃興で,日本が,企業,農林漁業者,政府,個人,など社会のあらゆる面で,意図的,非意図的を問わず,海外とのつながらざるを得ない,故に,海外(*)での標準である信頼社会に移行するのが,日本が生き残るにはベターな選択,というもの。

*中国は安心社会型だという著者の近著の主張がメンバーから紹介されたが,その通りと思う。個人個人の主張は激しいが,企業や同郷といった属する集団とその外部との接し方の違いは,中国が日本と同様,近代的自我ではなく,封建的自我を持っていることを示すと思う(近代的・封建的自我の表現は魚野の勝手な造語。自我の壁が属する集団にまで広がっているのをなんて言うんでしたっけ?)。

近年進められてきた情報公開と手続きの透明性確保は,こうした社会学での成果を取り入れていいたのかと得心。でも,なぜこの二つが社会的不確実性を(今までの集団内での談合よりも)減らすことができるのかということについて論拠が示されていないので,論旨に共感,でも消化不良。

 著者は最後のまとめで,暗黙のうちに,日本やアジアが集団主義という見解をとっているが,この点は個人的には疑問。歴史的には個人主義の時代もあったのではと思うし,武士の倫理は個人主義的では,という意見。十七条憲法の「和」の精神も,集団主義の主張ではなく,動乱期を乗り越えて単に平和国家に移行したかったのではと思う(調べてないので,根拠はありません)。

 読書会での進行は,少し誘導的だった面があったかなと,この自分の意見を書きつつ思いました。

うおの