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1997年から2000年の4年間,筆者はある食品会社の一員として,イタリアトマト加工品の生産・品質管理に携わった。このときの日々の生活の喜怒哀楽は,イタリアトマト通信として別途発信している。

ここでは,よりトマトに絞って,情報を発信しようと思っている。(2000.07.30)

加工用トマト

 加工用トマトとは,加熱・保存処理に適したトマトのことであり,日本のスーパーなどで見かける生食用(サラダ用など)トマトと違い,より果肉部が多く, 果皮が厚い。日本で栽培されているトマトの主流は生食用のトマト(色がピンクでゼリー部・酸味・甘味が多い)で,トマトジュースの加工用に加工用トマト (色が真っ赤で酸味が高い)は加工量は多いものの一般消費者が店頭で見かけることはめったに無かった。

 加工の形態としては,もっとも生産・消費量の多いダイス(Pomodori Cubettato, Diced Tomato, 角切り),皮むきホールトマト(Pomodori Pelati, Peeled Tomato, 全形)の2種類のほか,ペースト(Concentorato, Tomato Paste), ビューレ(Semi concentorato, Tomato Puree), 近年イタリアで急激に消費が増えてきたパサータ(Passata, 裏ごしトマト)などがある。

 日本では国内で生産された加工用トマトはほとんどがトマトジュースに,海外で生産された加工用トマトはほとんどがトマトケチャップやトマトビューレに加 工されていたが,近年のイタリア料理の流行に伴ない,次第に調理用のホールトマト,ダイストマトの需要が伸びてきている。

イタリアの加工用トマト

 イタリアで加工しているトマトは,ポモドリーニと呼ばれるプチトマトタイプと,加工用と呼ばれる2品種(長トマト(Lungo),丸トマト (Tondo))のトマトがある。加工とは,加熱処理や,なべで煮詰めた後の瓶詰めや,軒に干すような保存処置を指している。100年ほど前に缶詰技術が 開発されてからは,大量生産・大量流通時代が始まり,現時点にいたるまで保存用トマト加工品の使用目的は主に缶詰加工である。

 これらは家庭で消費されるほか,レストランなどで食材として,調味料的な素材として使用される。

加工トマトの産地と生産品目

  イタリアの加工用トマトの産地は,北部イタリア,プーリア州,カンパーニャ州を中心とした南部イタリア,およびシチリア地域の3箇所にある。それぞれ主力 生産品はトマトペースト,ホール・ダイストマト,プチトマトが中心である。 南部イタリアについてはもっとも古くから加工の伝統があるために設備や流通な どのインフラが最も整っている。また,生育上の条件としての天候が,トマトに適した乾燥に恵まれており,生産量・加工量・生トマトの品質とも北部イタリア 産品に勝っている。

 一方北イタリアは南イタリアが農業中心であるのに対して工業化が進んでおり,無菌充填システムの活用やトマトペーストの生産など,より大きな投資が必要な品目の生産が盛んである。

加工

作成中

輸送

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流通

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消費

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日本との関わり

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雑学

サンマルツアーノ

日 本では長トマトの名称としてサンマルツアーノという品種名が大変有名であり,イタリア産長トマトの代名詞のように思われている。サンマルツアーノとはもと もとイタリアのカンパーニャ州にある農村の名前であり,その近辺で栽培されている長トマトを指した。確かにサンマルツアーノはうまみや甘味が多く,生食 用,加工用として広く栽培されていた。

 ところが,今から約10年前,トマトの疫病が大流行し,カンパーニャ州の加工用トマトの生産量は激減してしまった。それはつまり,サンマルツアーノの激 減でもあった。一時は,サンマルツアーノは絶滅してしまったのではないかとも言われていた。疫病流行の後,南イタリアのトマト加工産業の原料基地はアドリ ア海側のプーリア州に移ってゆき,高速道路を何時間もかけて移動し,カンパーニャ州のトマト加工工場に運び込まれるようになった。果肉のやわらかなサンマ ルツアーノは輸送によってつぶれてしまうので,加工用トマトの主力品種の座を退かざるを得なくなった。

 現在では,サンマルツアーノは細々と生産されている。もっとも,「原産地呼称プログラム(DOP)」に守られた加工目的,自家や近隣での生食目的の小規 模栽培中心であり,加工用に回されるのは年間約○○tとごくわずかである。日本では,限られた輸入者が業務用(特に一部のレストラン向け)に扱っているだ けであり,ごくわずかの量しか出回っていない(もし,お手元のイタリアトマト加工品の中で,DOPの表示の無いサンマルツアーノがあるとしたら,それは偽 物といってよい)。

原産地呼称プログラム(DOP)

 原産地呼称プログラ ムとは,ある一定の条件を満たした農産物・農産加工品だけがある名前を使えるという規制であり,欧州共同体内で生産・流通する農産物・農産加工品に適応さ れる。例えばサンマルツアーノについては,栽培地域の指定(カンパーニャ州ベスビオ山周辺の市町村)や,トマトの細かい品種(固定種のサンマルツアーノ で,長さ・色など}が指定されている。

 この政策は,EUの最近の農業政策の2つの柱,すなわち最低限の安全性確保のための規制と,協約(コンヴァンシオン)の後押しによる競争優位の確保のうち,後者の典型例である。

作成:2008/07/28 06:14:33; 編集:2008/07/29 11:12:49