20130901 ブランドから考える6次産業化(1)


1.お客様から選ばれるために

農林水産事業者さんから6次産業化のご相談をいただく際,どこまで検討が進んでいるかは案件により様々です。例えば,商品の中身やパッケージ,価格も決まっている段階,なんとなく,自分の農林水産物で何かをやってみたいという段階。

でも,たいていの場合,誰にどんなメリットをもたらす商品・サービスなのか,どんなイメージの商品・サービスと思ってもらいたいのか,はっきりしていません—ごく一部の例外事業者さんはありますが。

幸い,ほとんどの事業者さんは個人事業の規模なので,担当している人の感性にもとづいて商品が企画され,試作されていきますので,似通ったデザインになります。ただ,これも例外があって,民主的なマネジメントをされている事業者さんの場合,これがアダとなって商品ごとにてんでバラバラの商品コンセプトになることもありますが。

魚野が関わる場合,消費者(あるいは買ってくださる方)がその商品を選ぶ理由はなんでしょう?という問いかけをします。他と差別化されているのか,それがお客さんのメリットになっているか。

答えとして一番多いパターンは,こだわりやおいしさを強調される点です。でも,こだわっている内容(例えば農薬を使わないだとか,土をつくっているとか)は,直接買い手のメリットにはなっていない上,この頃はあちこちで同じような取り組みがあるという点で,差異化に繋がりにくい問題点があります。また,おいしさも,買い手の感性によって何が評価されるかは千差万別。例えば,トマトの流行は甘いモノですが,中には酸っぱさや青臭さを美味しいトマトの必須要件と感じている人もいる。そして何より,誰もがおいしいと言われるわけです。

ですので,こう違うんだ,それを作り出しているのは,うちでやっている,こういうこだわりによるんだ,という説明ができてはじめて,お客さんに他とは違うと認識されてもらえます。モノやサービスがあふれる今の日本で,差異化要因をうまく伝えられないと,なかなか購入していただけないのです。

2.どうやって差異化要因を見つけ出すか

さて,事業者さんがご自身で差異化要因を明確に認識されているかというと,6次産業化プランナーの2年間の実務範囲では,なかなかそんなことはなく,そこでここからがヒアリング技芸の組み合わせの見せ所となります。

具体的には,事業者さんに,他と違う取り組みは何ですか,と直接聞くほか,あわせて,お客様があなたの農林水産物を選んでいただいている理由として,お客様はなんとおっしゃっていますか?などと聞いていきます。

そして,それまで事業者さんと話してきたこだわりの取り組みとその評価点が結び付けられないか,結びつけるには,何を調べればよいか,と仮説を組み立てたり,検査点を探っていきます。

例えば,ご自分で選ばれた,とてもめずらしい品種の作物を栽培している,変わった栽培方法を使っている,出荷の前に,こんな工夫をしている,…。時には,地元貢献活動の継続といった,直接農林水産業に関係のない活動であっても,商品のイメージにつなげられるような場合があります。よくよく聞いてみると貢献活動の哲学が農林水産業のこだわりと共通していることがほとんどですので,こうした取り組みも含めて,差異化要因,買い手の得られるメリット,あるいは買い手が感じるイメージがはっきりしてきます。