[日誌]事故米の流通に思う

事故米事件の余波が際限なく広がってきている。

利益優先の考えが安全軽視によるリスク,不祥事を生むという批判や,農水省は何故見抜けなかったのかという批判があるのはわからないでもないが,倫理や理念を唱えるだけでは市場主義経済下で は規範を破るという誘惑が経営者の頭をよぎることは防ぎ得ないし,捜査権限の無い農水省が故意に契約違反をし,それを隠そうとする会社の管理監督をせよというのも過大な要求というものである。

いくつか思う事を書き留めておこうと思う。

  • 国産だから安心というわけではない
    • 以前から言っている事だが,海外食品や原材料に不安があるから国産に切り替えたという対策は,対策にはなっていない。国産の食品,原材料でも偽装や事故はあり得る。むしろ,しっかりした管理の目を行き届かせ,衛生的な設備を最初から設計・導入した一部の海外工場ものに比べれば,旧態依然とした複雑な流通過程や生産設備,内部告発があたりまえの時代になったという認識ができない経営者が多く残っている日本の食品業界ものは,大いに危険という場合もある。大切なのは,しっかりした管理と記録,そしてそれをやりぬく経営者なのだ。
  • どうしたら食の安全,安心を得られるか—施策案
    • 安全保障という意味では,1)お金の問題と同じく民間の監査機関を設け,定期監査の実施と公開を義務づける,と同時に,2)民間の格付け機関による衛生管理状況等の格付け,公開,3)食品安全に関する強制捜査権限をしかるべき行政機関(厚生労働省か消費者庁,あるいは独立行政機関)に与える,というのはどうだろう。
    • 食品衛生に関する違法行為に対する厳罰化。中小企業が法の厳密運用には耐えられないというが,育成指導との両輪で進めていくしか無いのでは。
    • 小分けや混合など複雑な加工過程への対応や,レシピの秘密という問題はあろうが,徹底したトレーサビリティ制度の導入。日本が加工貿易で生きていく限り,今後も海外からの食料市場開放圧力は消える事は無い。だとすれば,履歴がはっきりしているという食の付加価値を,日本のお得意のITやシステム統合技術でつくりだすという差別化が重要かつ優位の源泉だろう。原材料の種類や農薬使用履歴だけは確実に知り得るといったしくみが必要なのでは。
  • どうしたら食の安全,安心を得られるか—消費者
    • どんな仕入をしているか,どんな生産者か,知ろうとする。顔が見えやすいという意味では,地産地消運動や,生協がよくやる生産者訪問は大変意味があろう。

近く総選挙が行われる事と思うが,政党にはこういった思い切った施策を国民に提示してもらいたいし,消費者もこわがっているだけ,批判しているだけでなく,自分のできる行動をどんどんしてもらいたい。それが,食品業界の成長につながると思う。