[日記]資料開示の事前伺い問題に思う事

日本では,野党が官庁に開示を請求した資料について,自民党が開示前に事前に連絡するよう官庁に指示していた事が明らかになって,問題になっている。事前連絡そのものには問題があるとは思えないが,連絡の結果,開示がされなかったり,資料の存在そのものが否定されているのであれば,立法による行政の監視が脅かされるという点で大いに問題であろう。

この問題は,9月30日に事故米についての農水省からのヒアリングの場で,民主党が農水省の問題としてとりあげ(朝日新聞の報道),結局,全省庁にそのような指示が自民党国会対策委員会からでていたことが明らかになった(朝日新聞の報道)。野党は,国政調査権の侵害として自民党を非難しており,与党は非難に当たらないとしている。いずれの主張にも,ちょっと首を傾げたくなる様な主張が含まれている。

野党側の主張から先に見ると,例えば,朝日新聞の報道によれば,民主党の次の内閣の浅尾慶一郎防衛相は、同紙の取材に対して「三権分立の観点から問題だ。自民党と政府が一体化している」と述べている。また,菅直人代表代行は,2日の記者会見で,「与党が直接、役所の資料の管理までコントロールするのは民主主義を破壊する行為だ」と述べたそうだが,与党と政府が一体化しているのを非難するというのは,民主党が考える,政治家(与党)による官僚のコントロールを深めようとする動きと矛盾しているのではないだろうか。

官僚の動きを官僚自身が決め,与党は官僚の立案する施策を立法化するという官僚主導の政治の仕組みは,長く日本の統治の特徴であった。それを打破しようというのが小沢一郎氏や菅直人氏のとなえる政治改革であり,民主党は政治家を役所に多数送り込むことを想定しているといってきた。これは,まさに与党と政府が一体化しようという動きであり,一体化を批判するのは矛盾がある。

一方で,与党側は事前連絡は官僚の仕事を少なくするための調整が目的だなどといっているようだ。外務省担当者は「自民党国対から『民主党からの資料要求の現状を報告するように』との指示を受け、メールなどで省内に周知した。内閣からの指示なので対応した」と述べたとされ(朝日新聞の報道),厚労省担当者は「役所の事務負担軽減のため、資料要求に関するルール作りを野党に申し入れる。それに役立てるため、新たに作る資料などがあれば知らせてほしい」という趣旨で指示がきたと述べているとの事(朝日新聞の報道)だが,それもまたにわかには信じ難い理由づけであるし,本当にそれだけのための趣旨でこのような指示が行われたかは大いに疑問であるとともに,指示内容が実際にはどんなものであったか,興味は尽きない。

情報公開は民主主義のもとでの意思決定で決定的に重要な要素で,機密事項や個人情報でどうしても開示できない部分をのぞき,原則公開される事が必要である。議院内閣制のもとでは与党が行政をコントロールするのは当然だが,与野党共国会の一部であり,行政を監視するという役割が国会に与えられている以上,原則として与野党共に同じ情報に接することができるべきで,外交・防衛情報や個人情報など公開の制限が必要というのであれば必要に応じて秘密会なり,一定期間後に公開されることを約した機密書類とするなりの方法で情報漏洩を防げばよいのではないだろうか。

政権交代が現実味を帯びてきたが,与野党共に,そういった状況を踏まえた発言や提言をしてほしいものだ。